◎【萩生田富司議長】第40番、井上睦子議員。

〔40番議員登壇〕  
 それでは、土地信託の問題について伺います。前の議員から多岐にわたって質問がありましたので、私は1点だけ質問いたします。

 信託報酬の見直しの問題です。昨年6月議会でも私は信託報酬の見直しの交渉をするようにと求めました。契約書にある関係で、その見直しは難しいだろうけれども、市にとって利するところであるならば、それはするという答弁をいただいています。そうしますと、この1年間、どのような交渉をしてきたのか。交渉回数は何回程度持ったのか、明らかにしていただきたいと思います。今後も続けていくという御答弁でありましたけれども、1年間、どのような努力をされたのかということをお聞きしたいと思います。

 先ほど、○○さんの公表の紹介がございましたが、実費対応方式による信託報酬については、その公表の中でも実費対応方式による収益率などに各要素を検討して、市と受託者との一層の詰めが必要であるというふうに、当時は信託報酬2.6%という案が示されておりましたけれども、収益率等を勘案して、信託報酬はしっかり決めなさいという指示がありました。その結果、2.4%になったと思いますが、その後の経過の中で、民間のオフィス部分の賃料は平米当たり2,700円、公共部分は4,000円です。当初4,800円の賃料で、2.6%ということであったわけでありますけれども、そうしたことを考えますと、信託報酬の利率について努力をすべきだというふうに考えていますので、お示しください。

 そして、信託報酬の利率を下げることが困難であれば、公共施設の平米単価4,000円の賃料を逆に下げるという交渉に入ったらどうでしょうか。そのことも市にとって利することだと思います。

 この間、平成4年にこの計画が出されて、試算がされておりますけれども、当初の計画では30年間で総収入が906億円、総支出が563億円、利益が343億円出る。そして借入金の返済が192億円、信託報酬は151億円になって、毎年5億円の信託配当が配付されるというような見通しでした。しかし、現在は、年間ベースに直すと、30億円の収入であったものが18億円、11億円の利益であったものが6億7,000万円しか出ていません。

 今後、中期見通しでは平成20年まで出ているわけですが、30年後を見通しますと、今、借入金がまだ136億円残っています。毎年これは返還に6億円ずつ充てられておりますけれども、単純計算をしても二十二、三年かかる。30年が終了したときに、本当に完全に借入金を返済して、八王子市のものになるのかどうかということも疑わしい状況になっております。
 その辺の見通しもお伺いしながら、信託報酬の利率を下げる、あるいは公共施設部分の賃料の値下げ交渉に入るということの方向性をお答えいただきたいと思います。

 以上が土地信託の問題についてです。

 次に、学園都市文化ふれあい財団の問題に対してお伺いいたします。

 八王子市住宅・都市整備公社の問題については、その存廃についてたくさんの議論がされました。学園都市文化ふれあい財団は廃止ということにはならないと思いますが、現在、96%が受託収入と補助金の負担金で賄われています。これが指定管理者制度へ移行した中で、この学園都市文化ふれあい財団の存続がどのようになるかということが、財団自身にとっても、そしてその外郭団体を統廃合し、進めてきた市にとっても、大きな問題だろうと思います。

 大変難しい問題が顕在化してまいります。つまり、既存の団体の整理や職員の処遇の問題が出てくるわけです。ことしを含めて3年間かけて、公の施設の直営化か委託かの判断をして、その後、委託になった場合には、学園都市文化ふれあい財団だけを指定して管理を任せるということにはならないでしょう。それは競争の原理を導入していかなければならなくなるという必然性の中で、市自身は外郭団体の方向性、指定管理者制度に伴って、どのような方向性を与えていくのか。あるいは学園都市文化ふれあい財団自身はそれに対応してみずからの組織をどのような方向に変更していくのかということについて、議論がどのようにされているのかということをお示しいただきたいと思います。

 そして、市にとっては今、委託に出している文化施設やコミュニティ施設、運動施設や学園都市センター、夢美術館という施設の直営化か委託かということの判断をしなければならなくなるというふうに思います。委託が適当なもの、また逆に直営が適当なものということを改めて精査をしていただきたいと思います。

 例えば、市民センター17館ございますけれども、これが指定管理者制度に移行した場合に、民間の企業も含めた中での管理運営が妥当なのかどうか。住民組織によって今運営をされているわけでありますけれども、そういった市民との協働の中で設備がつくられてきた経緯なり何なりの中で、どのような運営スタイルがいいのかということの判断も迫られると思いますし、地区図書室なども、これは図書館のネットワークのもとに構築した方が、サービスの提供としてはより充実してくるということで、今、一括して学園都市文化ふれあい財団に委託しておりますけれども、委託している施設の内容の仕事、それからサービスの内容について、再度、精査をして判断をしなければいけないというふうに考えておりますけれども、その点、今、どのような議論が進んでいるのか、お伺いしたいと思います。

 さて、学園都市文化ふれあい財団の方は職員数約94名いて、派遣職員が18名、固有職員が35名、一般嘱託27名、臨時職員14名という形態になっています。最終的には、学園都市文化ふれあい財団の自立化ということが求められるわけですけれども、市から派遣している職員を、学園都市文化ふれあい財団の自立化を進めながら順次引き揚げていくという方向も必要なのだろうと思いますけれども、その点についてはどのように考えるのか、お示しいただきたいと思います。


◎【萩生田富司議長】財務部長。                            
 土地信託の関係で幾つか御質問いただきました。

 まず、信託銀行側との信託報酬の料率の交渉の経過ということでありますけれども、信託銀行側の部課長が来た折などをつかまえて、随時、話はしてまいりました。しかし、午前中もお答えいたしましたとおり、契約書の中の定めとなっておりますので、その辺の難しさというものはありました。そういう中でも、先ほど助役からも御答弁したとおり、改めてその申し入れをしながら、料率の変更に向けての協議をしていきたいと考えております。

 それから、2つ目に、公共施設棟の賃料の引き下げの御提案がございましたけれども、公共棟にしてもオフィス棟にしても、賃料の引き下げということになりますと、それは結果として収益の減につながってまいります。そういう中では、公共棟はともかくとして、オフィス棟の入居率を高めることと、それから経済情勢に応じた賃料の設定によって、少しでも収益の増につなげたいというのが基本的な考え方でございます。

 それから、借入金の返済の関係でございますけれども、現在の借入金167億円が建築当初に設定されておりますけれども、これにつきましては、毎年、金利を含めて返還を続けております。この借入金の最終償還期限は37年9月までということになっておりまして、これはイコール信託期間の30年が終了するときでありますから、よほどのことがない限り、この借入金の返済に努めて、結果として信託期間が終了したときには、建物を含めて信託財産は市の財産となる、このように考えております。


◎【萩生田富司議長】市民活動推進部長。                            
 学園都市文化ふれあい財団の指定管理者制度の導入に伴います現在の庁内での議論の状況はということでございますが、財団につきましては市の外郭団体として設置した経緯もございます。そういう中で、今までは公の施設の委託をお願いしているわけですけれども、今御指摘のとおり、いろんな性格の施設がございます。ホールですとか、学園都市センター、また市民センター、それぞれの持つ性格によりまして、再度、このまま委託、そして指定管理者制度という方法がよろしいのか。施設によっては委託によるメリットよりも、市が直営でやる中で、業務委託をするという方法も選択肢の1つとしながら、検討しているところでございます。

 また、市民センターにつきましては、現在、地域の住民協議会の方々にその主な運営というんでしょうか、活用をお願いしているところでもございますので、いずれにしても、こういった施設の性格を十分踏まえながら、そして職員の処遇の問題もございますので、現在、この点を含めて慎重に議論を進めているところでございます。


◎【萩生田富司議長】市民活動推進部参事。                            
 私の方からは、財団の指定管理者制度に対する対応についてお答えをしたいと思います。

 財団といたしましては、指定管理者制度の趣旨等を踏まえ、指定管理者として指定されますよう、鋭意経営努力をしていきたいと考えております。

 また、地区図書室につきましては、読書のまち八王子を推進するためにはどうあるべきなのかを、中央図書館と連携を図り、検討していきたいと考えております。

 また、財団の事業につきましては、財団が14年4月1日、新財団が発足し、3年目でございます。現在ある事業を確実に実行し、一定の成果を出すことが重要であるというふうに認識しております。


◎【萩生田富司議長】 第40番、井上睦子議員。                            
 まず、土地信託の問題ですが、信託報酬の利率の変更協議については、昨年は信託銀行側が来た折をつかまえて話したということです。それは立ち話程度にしか聞こえないわけでありますけれども、逆に言えば、行政側の構えということですね。正式に市長名で利率の変更についての協議を申し入れるというような態度をとらない限り、信託銀行側も本気で協議には乗ってこないというふうに思いますが、自治体と信託銀行側との交渉のやり方としては、そういうことが交渉の仕方ではないかというふうに思いますが、助役からの御見解をお聞かせいただきたいと思いますし、逆に言えば、昨年は何もやらなかったということになるのではないかと思いますので、答弁をきちんとしているわけですから、その答弁にのっとって1年間努力をすると。努力をした結果、成果が上がらなくても、その努力という行為は残るわけですし、その誠意も信託銀行側には伝わっていくと思いますので、今年度はそういうことのないよう、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 もう一点は、公共施設の賃貸料の問題です。収益が下がってくるので、最終的には、これも行政の負担となるわけですが、信託報酬の利率というのは、オフィス棟と公共施設、そして駐車場の賃貸料の収入から2.4%でなってきていると思います。3億5,000万円がオフィス棟からの収益です。公共施設では8億7,000万円です。当初、4,800円であったものが、市では公共施設では4,000円、民間ではそれが2,700円まで下がっているということを考えれば、公共施設の方は附帯設備があるにしても、一方で、そのことによって信託報酬を支えているという意味もあるわけですから、賃料の引き下げについても交渉としては妥当ではないかというふうに思うわけです。その点についてお聞かせいただきたいと思います。

 学園都市文化ふれあい財団の問題については、事業内容を精査し、どのような運営の形態があるべきかということを、ぜひ活発な議論をしていただきたいと思いますし、学園都市文化ふれあい財団側からは、統合後の新たな決意というものがあったわけですが、市は今、職員を17名、派遣しているわけです。その後の自立化に向けて、指定管理者制度になったときに、市からの派遣職員がいるところに受託をするということが妥当なのかどうかというのはよくわかりませんけれども、一定の、お互い自立した関係をつくっていくためには、派遣職員の引き揚げ計画というんですか、そして財団の自前による運営という能力を育てていかなければいけないと思いますが、その辺は今どのような計画になっているのか、伺って質問を終わります。


◎【萩生田富司議長】財務部長。                            
 1点だけお答えをいたします。

 公共棟の賃料の引き下げが、関連して、結果、信託報酬の減につながるという、こういう御提案だと思いますが、結果とすればそういうことだろうと思いますけど、今の段階では、信託報酬の引き下げの申し入れの関係はそれとして、それから少しでも賃料の増収を図る、こういう経営改善的なことはそれとして、別々の視点で取り組みたいというふうに考えております。


◎【萩生田富司議長】市民活動推進部長。                            
 4月1日現在では財団の方には16名、市の派遣職員が行っております。御指摘のように指定管理者制度ができまして、財団がこの指定管理者の指定を受けるとすると、そこに市の派遣職員がいることについての是非、これは当然問題になってくると思います。ただ、一概にこれが即だめだということでもないと思いますけれども、問題点が生じる。そういうことも含めまして、昨日も他の議員からの御質問がございましたように、例えば、現在は管理職も行っているわけですけれども、そういったいろんなポストへの民間の専門職の活用というような方法もございます。そういう中で指定管理者制度の導入に合わせた派遣職員の処遇、こういったものは慎重に議論をしていきたいと思っております。


◎【萩生田富司議長】田中助役。                            
 信託報酬に対しまして、1年前の答弁が結果として出せなかったということについては、私も真摯に受けとめさせていただきます。今後、担当助役として、鋭意努力をしてまいります。